コピーの取り方でわかるあなたの官兵衛力 【サラリーマン古典芸能への招待】 第2回 コピー

 

サラリーマン古典芸能への招待

 

どうも。やまと金太郎です。

IT技術の進展とともに、働き方が変わるどころか、ほとんどの仕事が機械に取って代わられる。
そんな未来が真面目に議論される世の中になってきました。

恐ろしいことです。

こんな時こそ「温故知新」。
古き良き時代のサラリーマンが培った匠の技をこの翁が知る範囲で伝えましょうぞ。
(第1回ホチキスはこちら
若者から見ると、まるで古墳時代の埴輪(はにわ)のように滑稽なものに見えるかもしれません。
が、機械には代えられない、人としての何かがそこに見つかるかもしれませんよ。ホッホッホ

 

第2回 コピー

コピー

第2回は「コピー」。

人生の中で「コピー」が一番活躍するのは、大学生の期末試験前でしょうか。
海を渡った異人の国では、コピーの元となる授業ノートを元手に起業し、成功した人もいるとか。
が、スタートアップ云々かんぬんは、本題ではないのでググれ。

 

ゼロックスして!

 

はい、ここにA4横5枚ものの資料があります。
あなたは課長にその資料を手渡され、「これ、ゼロックスして。」を指示を受けました。
ゼロックス!? 前回もちょっと話題になった商標の普通名称化かいな?

ゼロックス

左がコピー。右がゼロックス。

そもそも大昔にはコピーなんて便利なものはありませんでした。
(ガリ版刷りや手書きでの模写、高価な印刷の時代)

その後、左のような青焼きと呼ばれるコピーが主流になります。
会社に眠っている取り出すと痒くなるような古い本を探してみてください。きっと見つかるはず。

白いPPC用紙を使ったコピーは、青焼きコピーと区別するために、ゼロックスと呼ばれていました。
導入当初はゼロックスは高価だったので、ここぞという時にのみ使用されたと伝えられています。

 

何を考えながらコピーを取るか

 

さて、ゼロックス=コピーと判明したところで、何を考えてコピーしますか。

1枚3円でコピーできるところを知っている?

サラリーマンとしてのコスト意識いいですね! でも、そんなことは関係ありません。
そのコピー屋まで何分かかります? 企業は時間を金で買うところ。
そもそもリーテイル(個人)向けの価格とホールセール(法人)向け価格は違いますし。

しかし、時と場合によっては、社内のコピー機ではなく、社外のリソースを使う必要もあります。
そのために上司に確認すべきポイントとは!

 

いつまでに必要か(納期)

何部必要か(数量)

誰向けの資料か(相手)

資料の目的、渡す場所などその他留意すべき点はないか

 

特に納期と数量は重要です。
自分の抱えている業務の中での優先度を考えるだけではありません。
コピー機がたくさんなかった時代は、大量印刷で長時間占有すること自体が1つのプロジェクト。
そもそも自分たちが望む時間にコピー機を占有できるのか、占有して他部署に迷惑がかからないか。
コピーする資料が出来上がるタイミングを見切り、緊急時に円滑に割り込ませてもらう。
社内が使えない、部数が多い時は、社外でのコピーも考える(その場合、直前の修正には弱い)。

一方、資料を見せる相手によって、資料のサイズ等が変わってきます。
資料が細かく、老眼の役員に見せるには、A3かB4に拡大しよう。
渡した資料をきちんと保存する相手にはA版で揃えたほうがいいな。
片面の資料を好む人、両面の資料でも大丈夫な人。

また、昔はページをフッターで自動挿入する機能はありませんでした。
出来上がった資料(原本)を軽く半分に折って、真ん中に手でページ数を追記するのも大切な仕事。

まさに、プロジェクトマネジメント、人間力の総合格闘技だったのです。

 

人間グーグルになれるか

 

無理を言って割込み、直前の資料修正にも耐え、必要部数のコピー(&ホチキスどめ)を無事完成。
別の古典芸能である「根回し」も終わっているし、役員会議の準備は滞りなく終了!

ああ、よかったあ。お疲れ様>オレ

 

そんなあなたに対して、上司から悪魔の囁きが。。

「この前どっかの資料に◯◯が載ってたろ。手持ち資料で欲しい。すぐ用意して。」

 

インターネットもクラウドもなかったあの時代。
膨大な労力をかけて作成した資料やデータを再利用することが当時は必須だったのです。

この資料の再利用を円滑に処理するために、あなたが人間グーグルにならなければなりません。

コピーした原本か余分にコピーした1部をきちんと保存し、いざという時にパッと出す。
そのためには資料を読み、中身を理解しなければなりません。

どのようにファイリングや製本をし、自分の検索能力を最大化するか。
「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)」の野口悠紀雄先生は偉大でした。

 

資料の再活用にみる匠の技

製本のコピー

(1)過去の資料を素早く探し出す(時系列、会議別、テーマ別)

(2)分厚い本の背表紙を押しながらコピー(できるだけ真ん中が黒くなるのを防ぐ)

(3)黒い部分や歪んだ文字を修正液やボールペンで元通りに復元

当然、資料の肝心なところが黒かったり、歪んでいてはお渡しする意味がありません。
製本された元の資料を見ながら、かのキリスト壁画を修復するがごとく復元していきます。

迫り来る会議開始時間のプレッシャーと闘いながら、ブレることなく、復元する技量!

「いい仕事してますね~」

 

最後に

 

学生気分を吹き飛ばすように、入社後すぐに、上司に叩き込まれたこうした技。
最初の頃は、ただコピー機に走ることでせめてもの誠意を見せる毎日。
ドラえもんのように過去の資料を用意する上司に、社会人魂を感じたものでした。

軍略を究めんとする官兵衛のごとく、あらゆる資料を自らのものとしていく。

ペーパーレス会議が主流となり、こうした技もどんどん失われています。
サラリーマン古典芸能の技能保持者が何人残っていることやら。

また上記はこの翁が叩き込まれた経験や関係者から伺った伝承にもとづくものです。
サラリーマン古典芸能には様々な流派がありますので、別のやり方もあるでしょう。

あなたの周りのサラリーマン古典芸能に、幸あれ!