ホッチキスのとめ方でわかるあなたの秀吉力 【サラリーマン古典芸能への招待】 第1回 ホチキス
サラリーマン古典芸能への招待
はじめまして。やまと金太郎です。
IT技術の進展とともに、働き方が変わるどころか、ほとんどの仕事が機械に取って代わられる。
そんな未来が真面目に議論される世の中になってきました。
恐ろしいことです。
こんな時こそ「温故知新」。
古き良き時代のサラリーマンが培った匠の技をこの翁が知る範囲で伝えましょうぞ。
若者から見ると、まるで鎌倉時代の武士の名乗りのようにバカバカしいと思われるかもしれません。
が、機械には代えられない、人としての何かがそこに見つかるかもしれませんよ。ホッホッホ
第1回 ホチキス
記念すべき第1回は「ホチキス」。
「ホッチキス」ということも多いですね。
ちなみにNHKでは「ホチキス」で統一されているそう。
商標の普通名称化という別の興味深い話題の主役になることも多いです。
が、ステープラー云々かんぬんは、本題ではないのでググれ。
縦にとめる? 横にとめる?
はい、ここにA4横5枚ものの資料があります。
役員会議で30部配付しなければなりません。
あなたはどうやってホチキスしますか?
縦にとめる?
横にとめる?
いや、そんなのどーでもいーじゃん!
コピー機が勝手にとめてる(向きは覚えてない)
何を考えながらホチキスをとめるか
もちろん、どんなとめ方でもいいのです。とめるだけなら。
しかし、「めくりやすさ」と後で述べるリスクを円滑に処理するためには、「斜め」一択!
紙をめくる方向を考えると、縦や横にとめた場合、破れるリスクが高まります。
そもそもめくりにくい。
伝統的サラリーマンは、殿上人である役員方に1ミリも不快感を感じさせてはいけないのです!
右下の図のように、2箇所どめで、紙をめくる方向そのものを固定するのもアリなのですが。。。
「めくりやすさ」以外のもう1つの理由から、2箇所どめは採用しません。
コピー機がソートしながら自動でホチキスでとめてくれる機能もあります。
これは確かに便利なんですが、ホチキスのバネが強すぎて、破れやすいんですよ。
斜めにとめてくれる機種もなかったし。
(実際に、機械どめしていると、怒る役員がいましたね~(遠い目))
恐怖の瞬間
度重なる修正指示に耐えながら、資料を完成させ、ホチキスどめ。
別の古典芸能である「根回し」も終わっているし、役員会議の準備は滞りなく終了!
ああ、よかったあ。お疲れ様>オレ
そんなあなたに対して、上司から悪魔の囁きが。。
「この表現はまずいな。このページだけ差し替えて。」
他部署との関係、マスコミ報道、単純なミス、etc…
理由はいろいろありますが、直前の資料修正は避けては通れないリスク。
そう、もう1つ考慮すべきは、この資料の差し替えを円滑に処理することなのです。
修正後の資料を最初から全ページ印刷し直す時間があればいいのです。
が、その時間がない場合、差し替えるページだけを印刷し、資料をセットし直すことになります。
この差し替えでは、とめたホチキスを外すことになります。
従って、2箇所どめやバネの強い機械どめは避けたほうがいいのです。
差し替えにみる匠の技
(1)用意した資料のホチキスを外す(平行して差し替えページを印刷)
(2)該当ページを差し替え(差し替えた旧ページの数をきちんとチェック)
(3)もう一度ホチキスでとめる(最初の穴と同じ場所にホチキス)
当然、役員方に差し替えた資料(お古)をお渡ししたと思われるわけにはいきません。
当初の真新しい資料と同じものに見えるよう、ホチキスの穴は最初と同じところにあけます。
迫り来る会議開始時間のプレッシャーと闘いながら、ブレることなく、ホチキスする技量!
「いい仕事してますね~」
最後に
学生気分を吹き飛ばすように、入社後すぐに、上司に叩き込まれたこうした技。
最初の頃は、同じ所に穴があけられず、外すほう専門。
正確かつ猛スピードでホチキスする上司に、社会人魂を感じたものでした。
草履を温める秀吉のごとく、資料を準備する一手一手を考えぬく。
ペーパーレス会議が主流となり、こうした技もどんどん失われています。
サラリーマン古典芸能の技能保持者が何人残っていることやら。
また上記はこの翁が叩き込まれた経験や関係者から伺った伝承にもとづくものです。
サラリーマン古典芸能には様々な流派がありますので、別のやり方もあるでしょう。
あなたの周りのサラリーマン古典芸能に、幸あれ!
やまと金太郎
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