好きだけど別れを選ぶ。3月はそんな季節なのかもしれない。
3月は別れの季節らしい。
元々は仲が良かった。とはいえ、高校大学の時には特に意識せずまあ普通に居る程度の仲だった。
大学生としてひとり暮らしを始め、そのありがたみを知った。好きだった。愛おしかった。貧乏で飯が食えない時も助けてくれた。
いつしか自分は頼りっきりになっていた。1日に何度も思い浮かべ、友達と会話している時にも脳内で思い浮かべ。
あのころは何をやっても許された。楽しかった。
一生一緒なんじゃないかとも思っていたし、この幸せな時間がずっと続くと思っていた。
アラサーを迎え、関係に亀裂が生じ始めた。周りの評判も変わっていった。「そんな関係を続けるのは良くない」。
そんな鬱陶しい話もちらほらと聞くようになった。
ほっといてくれと思った。自分は自分だ。
自分が信じる道を、自分に正直に我慢せずただ本能に従っていただけだった。
けれど私も本当はわかっていた。
その子には責任は無く悪いのは自分だという事も、別れを選んだ方が良いことも。
けれど、認めたくなくて現実を見ようとしなかたし、倫理的に考えて別れという選択肢が突きつけられることが嫌だった。
逃げていたんだろう。
私は、この3月別れを選ぶ事にした。
誰にも相談せずに自分で決めて、自分で一方的に決断し、そして私たちの関係に終止符を打った。
あれほど向き合いたくない話だったけれど、いざ決断してからは呆気ないものだった。
さずがに当日は食事も楽しめず、実感もわかなかった。
行く充ても無く夜の街をさまよった。
1件の焼き鳥屋に入り、ホッピーと焼き鳥を注文する。
けれど、ビールを飲むわけにはいかない。もう別れたのだから。
翌日昼前に起きて近所の商店街を歩いた。
今まで意識していなかったけれど、別れた事で初めて自分が頼りっきりになっていたことに気付かされた。
今までは居ることが普通。でも今は、別れてから気付くその有難味を感じ、腹が減るのを感じた。
ドトールでミラノサンドAを食べるわけにはいかない。もう小麦とは別れたのだから。
ラーメンを食べるわけにはいかない。もう麺類とは別れたのだから。
そばを食べるわけにもいかない。もう炭水化物とは別れたのだから。
だーかーらー!炭水化物と別れたからラーメンとか食えないんだってば!
別れたから再認識した。ずっと好きだった、愛していた。
でも、もう食べるわけにはいかない。
俺は、炭水化物さんとお別れしたのだ。
ご飯さん
パスタちゃん
うどんくん
そばたん
パン(嫌い)
ピッツァ様
さようなら。いつまでもお元気で。
さてさて、みなさんもこの3月炭水化物さんと別れてみてはどうだろうか?
別れてから、その存在の大きさに気付き、ランチに困る事でしょう。
きっと4月には新たな食べ物との出会いがあることを信じて私は前へ進もうと思う。
前へ。
荒木賢二郎
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